YouTubeの字幕翻訳について

YouTubeは今や全世界の人々が利用するメディアプラットフォームとなっています。しかし、言葉の壁がビデオコンテンツの魅力を制限することもあります。この問題に対する解決策が、字幕翻訳です。

翻訳された字幕があることで、ビデオコンテンツはグローバルな視聴者に対して開放されます。言語の壁を越えてメッセージを伝え、より多くの人々と共有することが可能になります。これにより、視聴者の数は格段に増え、チャンネルの影響力も拡大します。

しかし、単に翻訳するだけでは充分ではありません。字幕翻訳は通常の翻訳とは形式が異なるほか、字数が限られている中で最もよくメッセージを伝えられるようにしなければいけないからです。また、ただ既存の動画に字幕を追加するだけでは新たな市場にリーチすることが難しい場合もあります。

自動翻訳とプロフェッショナル翻訳の違い

自動翻訳ツールは、テキストをある言語から別の言語へ素早く変換する能力において、素晴らしい進歩を遂げています。YouTubeにおいても自動的に字幕を追加し、それを自動翻訳することができるツールがあります。

これは「何もしない」よりはマシですが、本当に効果のあるメッセージを伝えたい、動画の内容を損なわないような字幕にしたいということであれば、人間が動画の内容やターゲットとなるオーディエンスを理解した上で翻訳する必要があります。このとき、言葉選びだけではなく、次のような要素も考慮されます。

1. 時間制約:字幕はビデオの映像や音声に同期して表示されるため、翻訳されたテキストは特定の時間制約内に収まらなければなりません。そのため、言葉を選ぶ際にはその長さやリズムを考慮する必要があります。

2. 空間制約:画面上に表示できる文字数は限られています。視聴者が一度に読める文字数は限られており、重要な情報をコンパクトに伝える技術が求められます。

3. 視覚的要素:字幕翻訳者は視覚的な要素(表情、ジェスチャー、背景など)を理解し、それを考慮に入れた翻訳を行うことが重要です。これにより、視覚情報と言葉が一致し、視聴者が混乱することなくストーリーを理解できます。

4. 口語とスラング:ビデオコンテンツでは、口語やスラングが頻繁に用いられます。これらの表現を理解し、適切に翻訳することで、自然な字幕を提供することができます。

5. 音声のない情報:字幕は音声だけでなく、音声のない情報(音楽、効果音、その他の音響的な要素)も伝えることがあります。これらの要素をどのように表現するかは、ビデオの種類や視聴者のニーズによって変わります。

字幕翻訳の効果を高めるには

YouTubeの場合、字幕翻訳だけを行っても、それですぐに全世界のオーディエンスに見られるようになるわけではありません。これは、YouTube上の動画がオーディエンスにリーチする上でのアルゴリズムが影響しています。ここで重要になるのは、「どの動画に字幕を付けるべきか」ということ、また動画に字幕を付けた上で概要欄も翻訳する必要性を鑑みることです。

あるいは、新たなオーディエンスに向けて、英語用のチャンネルを新たに作成することも検討されます。この場合にはYouTubeの機能によって字幕を追加するのではなく、動画自体に編集によって字幕を追加することも可能です。

こうした字幕を追加する以上の総合的な対策は、YouTubeにおけるSEOとも言えるでしょう。

Akitsugu Domoto

Translator, wordsmith, speaker, author and part-time YouTuber.

https://word-tailor.com
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