【PR】lufe.ai はAI時代の自動翻訳ツールになるか?

先日、lufe.ai という翻訳ツールについて、『ぜひ性能を検証し、紹介するコンテンツを作成して欲しい』というご依頼をいただきました。これまで本サイトでは、ChatGPT や Claude、Gemini、Grok などの翻訳能力を比較したり、それをクラウドソーシングサイトでの依頼と比較したりしてきましたので、ここに新たにひとつ、検証用のツールが加わる形になります。

ただ、ご依頼を受けて検証・紹介するにせよ、プロの翻訳家としての立場から、良くないものを良いと言うことはできません。そのことをお伝えしたところ、それでも構わないということでしたので、以下、実際に lufe.ai を使用し、どのように感じたかを率直にまとめます。

気になった方は【こちら】から登録や詳細などをご確認いただけます。


lufe.ai を用いる利点

lufe.ai は自動翻訳ツールです。ただし独自のマシンやモデルによって翻訳しているのではなく、Google翻訳や ChatGPT、Gemini、Claude といった既存の機械翻訳モデルや生成AIモデルを用いて翻訳しています。では、ChatGPT や Gemini、Claude などを直接用いれば翻訳自体は可能であるはずなのに、どうして敢えて lufe.ai を嚙ませて用いる必要があるのでしょうか。

ツールとして見た場合のその利点は、まずプロンプトが不要であるという点があります。例えば堂本は、ChatGPT や Claude などの生成AIツールはかなり精度が高く良いと思える翻訳をする傾向にあり、それは DeepL を上回るところもあると考えていますが、メインで使う翻訳ツールをひとつ選ぶなら、DeepL が良いだろうと考えています。その理由のひとつに、DeepL を用いる上ではデスクトップアプリが使いやすく、かつ生成AIに必要なプロンプトが不要であることから、翻訳自体を早く処理できる点があります。

lufe.ai には DeepL のようなデスクトップアプリはありませんが、Chrome に導入できる拡張機能があり、情報収集の上での翻訳の自動化に便利だと言えます。また、複数のAIモデルによって翻訳をチェックすることができるので、例えば ChatGPT で自動翻訳した際に気になる箇所があれば Gemini で再翻訳してみるなどといったこともプロンプトなしで軽快に行うことができます。複数のAI翻訳をプロンプトなしで処理できるハブとしての役割を担うという点で、lufe.ai は有効なツールです。

したがって、『複数の翻訳ツールを比較しつつ機械翻訳を使いたい』という方や、『情報収集などのためにウェブサイトなどの翻訳を基本的に自動化したい』という方、『一度に大量の翻訳を自動処理したい』という方には、lufe.ai は有用な選択肢だと言って良いでしょう。

価格感とAI翻訳の利用

lufe.ai でAI翻訳を利用するには、有料版の登録が必要になります。無料版でも Google Translate や Bing、Yandex といった従来の翻訳ツールを用いて翻訳することは可能で、この範囲でウェブサイトなどを閲覧する際の翻訳の自動化の恩恵は受けられますが、ChatGPT や Claude、Gemini による翻訳の自動化こそ、lufe.ai の真価を発揮できる点です。

有料の場合の金額感は、最も安価なスターターレベルなら9.99ドル、スタンダードは19.99ドル、プレミアムは39.99ドルです。それぞれのレベルでAI翻訳を行える文量が変わってくるのですが、最も安いスターターレベルでも5,000,000クレジットが付与され、これで2500ページ程度の翻訳が可能であるとされています。

米国の調査による統計ですが、一般的なユーザーが一日に130ページ前後を閲覧していることを鑑みると、500万クレジットはおよそ19日分の閲覧に相当します。休日を除けば1ヶ月という期間をおよそカバーできているほか、すべてのページを必ず翻訳しなければいけないわけではない(日本語のページをそのまま見ることもある)ことから、一般的な利用であればスターターレベルの契約で充分だと言えるでしょう。

DeepLとの比較

上記の価格感は、DeepL の有料版の金額感と近いところがあります。

*年払いを1ヶ月分の料金に変換したものです。1ヶ月の都度払いの場合は金額が変更になります。

スターターレベルで比較すると、年払いなら DeepL の方が少し安いこと、為替の影響があることを鑑みても、lufe.ai との意図されている価格差は小さいことが確認できます。この価格差ならば、DeepL の代わりに lufe.ai を用いることは選択肢として有り得る範疇だと言えそうです。

この辺りについて個人的に重要視しているのは使用感や使いやすさなのですが、これについては個人差があるので一概に正解があるわけではありません。DeepL の場合はデスクトップアプリをメインで使いたいなら選択肢になりますし、普段から生成AIによる翻訳を複数用いているような場合や効率良く複数の翻訳を検討したい場合には lufe.ai が良いかもしれない、という話になります。


lufe.ai の翻訳精度について

lufe.ai は独自のモデルやマシンを持つわけではなく、ChatGPT や Gemini、Claude といったモデルを活用して翻訳をしている、いわばハブのような存在です。そのため、原理的に、利用している生成AIのパフォーマンスを越えることはありません。

ただし、ユーザーインターフェイス上はプロンプトがなくとも、生成AIを用いている以上、見えないところにはプロンプトが存在しているはずです。そのプロンプトが練られたものであれば、あるいは単純なプロンプトによって生成AIに翻訳をさせるよりも良い翻訳になるということはあるかもしれません。こうした背景から、念のため、既存の ChatGPT や Claude などとの翻訳比較を行いました。結果はこれまでの記事と同じく、【こちら】と【こちら】のページにまとめられています。

これについてここで結論を述べるなら、lufe.ai を用いたことによって特に翻訳の精度やパフォーマンスに改善は見られませんでした。また、部分的には現在の最新モデルの生成AIと比較すると翻訳が劣るところもありました。加えて今回のテストでは Claude を用いた場合の自動翻訳の質が特に不安定だったので、比較ページにも結果を掲載していません。Claude 自体は特に翻訳能力で他に遅れを取っているわけではないので、これは不思議な現象でした。

こうした全体の結果の原因のひとつには、APIで用いられているモデルの影響などもあると考えられるため、テストのタイミングなどによっても結果は異なるかもしれません。例えば ChatGPT や Gemini、Claude で用いることのできるAPIモデルに進化があり、これを lufe.ai が取り入れれば、パフォーマンスが大きく向上することは有り得るでしょう。この辺りの進化はその速度への期待感もありますが、同時にパフォーマンスの安定性への懸念もあります。

全体を通して致命的な間違いや訳抜けなどについては今回調べた限りでは確認されませんでしたが、翻訳がぎこちなく感じられるところや、曖昧な言葉選びや表現になっているところは見受けられました。そのため、少なくとも翻訳の精度に期待するというよりは、前述のように機械翻訳のハブや大量の翻訳の自動化といった点で lufe.ai を用いる方がより期待感としては適切だと言えそうです。ちなみに、lufe.ai を通して翻訳する限りだと、今回のテストでは Gemini を用いた場合が全体的に翻訳のパフォーマンスが安定していました。


lufe.ai のツールとしての使い勝手について

lufe.ai の拡張機能は、ページ全体の自動翻訳のほか、pdfの翻訳や画像翻訳、YouTubeの字幕翻訳表示などにも対応しています。これらについて、ツールとしての使い勝手の面から見ていきます。

ウェブページの自動翻訳

情報収集などの上で翻訳を自動化したい場合には、こうした自動翻訳は非常に便利です。こうしたことが可能なツールは従来にも存在していましたが、AI翻訳を切り替えることで比較したり、翻訳内容の表示の仕方を変更したり(それによって言語学習に活かしたり)することができるのは大きなメリットだと言えます。

もちろん、究極的に言えば、機械翻訳を用いるときにはその内容が正しいかどうかをチェックすることが必要になります。しかし、個人的な情報収集や、自分がある程度専門性を持つので誤訳があれば気付けるような分野での情報収集においては、こうした翻訳の自動化が全体のプロセスをより効率化することに一役買ってくれることもあるでしょう。

加えて、ウェブページの翻訳の際には翻訳部分を対訳的に表示したり、ぼんやり表示してカーソルを合わせたら表示されるようにしたりなども可能ですので、言語学習をしている人にとっては読解の練習の効率化にも使える場合があるでしょう。

試しに、OpenAI の告知記事の一部を lufe.ai(Gemini 利用)で翻訳したのが上記のものです。対訳になっていて、ここだけでなくすべてのパラグラフがこのように対訳になっているので、読み進める場合にも英語学習の補助とする場合にも活用しやすそうです。これは翻訳内容だけの表示にすることも可能で、その場合にはより翻訳のプロセスを透明化することで情報収集で経験されるような摩擦を軽減できます。

ちなみに翻訳内容を DeepL と比較すると、DeepL(クラシックモデル)の同様の該当箇所は次のように翻訳されます。

reporting directly to me が「私の直属となる」と訳されているなど、こなれた印象の翻訳になっていますが、ensuring we stay aligned and integrated across all areas が訳されていないなど、一長一短です。ちなみに比較として、DeepL の新モデルだと次のようになります。DeepL のモデルの新旧比較記事については、【こちら】をご参照ください。

pdfの翻訳

サイトを開いてそこにpdfをアップロードする形で翻訳します。全体がすぐに翻訳されるというよりも、pdfのテキストを読み込み、テキストの塊単位で翻訳を表示していくという形です。一気に翻訳するわけではないところは良い面も面倒な面もありますが、翻訳内容を細かくチェックしつつ訳抜けや誤訳がないかを判定していけるので、MTPE で応用できる可能性があります。

*実際の翻訳イメージです。テキストの塊ごとに翻訳されています。翻訳に用いたpdfは【こちら】です。

ただし、pdf内のテキストの読み込み精度については必ずしも完璧ではない点には注意が必要です。この辺りについては追々の改善もあるかもしれません。

画像翻訳・YouTubeの字幕翻訳表示

手持ちの画像や動画などを試してみたのですが、いずれも上手く処理されませんでした。フォーマットや相性、プラットフォームの仕様変更などの問題があるのかもしれません。この辺りについても追々改善される可能性がありますが、少なくとも現時点でこれを目当てに lufe.ai に登録することはないかと思います。


lufe.ai の使い方の想定

これは別の記事でも触れている通り、基本的に機械翻訳やAI翻訳は『絶対的な精度』というよりも『使いやすさ』で選ぶ方が合理的です機械翻訳やAI翻訳は、翻訳のクオリティを高めるために使うものというよりも、それをある程度犠牲にしつつ、翻訳速度や全体のプロセスの効率化を図るものであるからです。

その点、lufe.ai は使い勝手がよく、この点においてライバルとなり得る DeepL と比較しても有料版の金額感が近いことから、充分に選択肢に上がり得るツールであると言えます。特に情報収集や調査などでウェブページの翻訳を自動化したい場合には役立つ可能性が高いでしょう。そのように複数のAI翻訳を管理するハブとして使えば、プロセスの効率化が期待できます。

したがって、どちらかというとプロが使うツールというよりも、『全体のプロセスの中で翻訳で一々困りたくない、複雑なことも考えたくないし、翻訳ツールを一本化したい』というユーザーにオススメのツールという印象です。例えばトランスクリエーションローカリゼーション、またマーケティングやブランディングを踏まえた翻訳は、また精度や表現に慎重な判断が必要な翻訳については、lufe.ai で自動化することは難しい面があります。一方、翻訳自体に重きが置かれているわけでない場合や、ウェブサイトの閲覧などにおいて翻訳プロセスを完全に透明化したい場合などには、活用の機会がありそうです。機械翻訳やAI翻訳のツールを用いることが合理的であるかどうかについては、【こちら】の記事をご参照ください。

このように、適切に用いることで業務の効率化が可能であることは確かなツールですが、便利だからこそ、使い所を間違えないようにすることが大事だと言えるでしょう。翻訳プロセスの透明化は情報収集の上では摩擦を減らしてくれる効果がありますが、誤訳が含まれている場合に気付きにくいという面もあるなど、特に高度な情報を扱う場合には注意が必要です。

lufe.ai の詳細は【こちら】からご確認いただけます。

Akitsugu Domoto

Translator, wordsmith, speaker, author and part-time YouTuber.

https://word-tailor.com
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