業務で英語が必要になったら: 社内で解決する場合
グローバル化が叫ばれて久しい中、様々な情勢が重なってリモートワークで仕事をすることが選択肢として当たり前に選ばれるようになりました。こうしたリモートワークは場所に囚われず必要な人材を確保したり、仕事をしたりできる点が特に優れていると言えますが、これは国内に限った話ではありません。リモートワークにより、グローバル化は更に加速したと言って良いでしょう。
オンラインで事業を展開したり宣伝したりすることが誰にでもできるようになった今、業務の中でふと英語の技能が必要になることがあります。海外の見込み客にメールを打ったり、海外からの問い合わせに回答したり、海外向けのホームページを作ったり、海外向けの広告を作ったりなど、英語が必要になる場面の一例を考えると枚挙に暇がありません。
では、それまで意図していなかった中で業務的に英語が必要になったら、どうすれば良いのでしょうか。ここでは、業務で英語が必要になったとき、どう対処するのが良いかということについて、何度かに分けて考えます。第1回は、「社内で英語ができる人材を探す」パターンのお話です。
社内で英語ができる人材を探す
社内で英語ができる人を探してみる、これがまずひとつの候補でしょう。確かに自社の中でそういった人材を確保できれば、最も融通が利きやすく、コミュニケーションのコストも少なくなります。確かに、「海外の見込み客とメールをする」といったようなことや、海外から視察に来ているクライアントに簡単な案内をするといったようなことであれば、英語ができる人材に一任するのはひとつの手です。
一方で、いわゆる翻訳業務となると、単純に英語ができることとは話が変わってきます。翻訳業務は、「正しい英語」を扱えることや、「英語を読める」ことだけでは成り立ちません。より良い表現を取捨選択したり、新しい表現を考えたりする必要がある場合もあります。これは広告やマーケティング、コピーライティングなどであれば特に顕著ですが、事業の資料やホワイトペーパーなどにおいても例外ではありません。
しかし「翻訳」というものを研究したり学んだりしたことがある人は、英語学習者や英語の上級者にも決して多くはありません。そのため、「翻訳」が必要である場面で「試験で点数を取るための日本語/英語訳」がされてしまうようなこともあります。
英語力の判定の難しさ
業務で英語が必要になったとき、その瞬間に特定の人材の英語力を測ったり把握したりすることは難しいと言えるでしょう。
TOEICや英検を受ければある程度の英語力が測れますが、その結果が出るまでには時間がかかります。以前に受けたことがあるという人でも、英語力がどの程度”錆び付かずに”残っているかは分かりません。加えて、前述した通り、英語力と翻訳能力が必ずしも相関しないという問題もあります。
また、非常に好ましくないケースとして、「誰もその英語力が業務上適切なレベルである」ことが判定できない場合、英語業務の質をひとりの人材に完全に委ねてしまうということもあり得ます。これはいわゆるモラル・ハザードの一例とも言えます。
社内で英語/翻訳ができる人材を確保するには
こうした問題から、社内で英語や翻訳に関連する業務を任せられる人材を確保するには、普段から定期的に英語力のチェックをしておくことが求められます。例えば希望者だけでも定期的にTOEICや英検を受けてもらうなどにより、いざ業務で英語が必要になったとき、直近のスコアを確認して人材を絞り込むことができます。
場合によっては、英語力を伸ばす研修を行うのも良いでしょう。繁忙期と閑散期があるような業界であれば、閑散期に集中して講座を行ってみるというのも良いかもしれません。ただ、英語力を伸ばすためには継続的かつ長期的な取り組みが必要ですので、あくまで研修はきっかけとして、個々の社員が自律して勉強していくように方向性を定めることが必要です。
翻訳については、既にある程度英語力がある人材を対象として研修を行うのも良いでしょう。普通の英語/日本語訳と翻訳業務における翻訳がどのように異なるのかを理解してもらい、通常業務の中でもそれを意識することで、少しずつ必要な技能が育っていくことが期待できます。
そして、こういったチェックについては必ず外部の第三者が行うか、または信頼でき、癒着の恐れがないふたり以上の人員によって行われなければなりません。これは属人化を防ぐほか、英語運用や翻訳業務のクオリティが一定以上であることを確保するためです。
まとめ
この記事では、英語業務について社内人材で対応する場合の注意点について解説しました。業務の中で英語力が必要になる可能性がある場合、普段から人員の英語力を測定し、場合によってはその業務に合わせた研修を行うことでスキルを保持させることが重要と言えます。