目的に合った学習方法: 個人指導、コーチング、メンタリングのどれを選ぶべきか
英語学習者が利用できる学習サービスとして、『個人指導』、『コーチング』、『メンタリング』の3つがあります。これらは一見似ているようで、それぞれに特異な特性と利用シーンがあります。どのサービスを選ぶべきかは、自身の学習目的やニーズによって異なるのです。
この記事では、個人指導(ティーチングやチュータリング)、コーチング、メンタリングのサービスの違いと、どのような場合にどのサービスを選ぶのが良いかということについて解説します。
サービス提供者による独自定義に注意
個人指導やコーチング、メンタリングは、それぞれある程度の定義や客観的意味付けが可能ですが、サービス提供者が独自の定義をしている場合もあります。これは特にコーチングやメンタリングといった、比較的新しい言葉に多く見られます。
そのため、以下に紹介する選び方が通用しない場合もありますので、気になるサービスがある場合、そのサービスが個人指導、コーチング、メンタリングをどのように定義しているか、予め確認しておくのが良いでしょう。また、サービスによってはこの3つの要素を合わせ持っていたり、一部が重複していたりするような場合もあります。
英語学習の個人指導とは
まずは「個人指導」について見ていきましょう。個人指導、またはティーチング、チュータリングは一対一の指導が特徴です。イメージとしては家庭教師が最も近いかもしれません。このようなサービスは、次のような場合にオススメです。
- 英語の“授業”を受けたい場合
- 講師のペースで引っ張ってもらいたい場合
- ある程度決まったカリキュラムで学びたい場合
- 具体的に克服したい弱点がある場合
逆に言えば、純粋な個人指導においては、勉強のやり方やキャリア相談など、『英語という科目』の範疇を超える助言を期待することは難しいと言えるでしょう。
英語学習のコーチングとは
次に、「コーチング」です。コーチングは自己啓発の一環に近く、主に自分自身で問題を解決し、スキルを身につけるための支援を受ける方法です。英語の科目的指導というよりも、『どう勉強すれば良いか』の指導や『勉強で結果を出す』ための指導を得られると考えると良いでしょう。
したがって、こうしたサービスは自己学習を進める自信がある一方、定期的なフィードバックやアドバイスが欲しい人に適しています。以下のような場合には、コーチングのサービスを検討しても良いでしょう。
- 英語の勉強方法自体を知りたい場合
- 自学自習をするためのメンタリティを身につけたい場合
- 自分で基本的な勉強を進めつつ、その成果を確認し、適宜何をするべきかを教えてもらいたい場合
- 自分に合った勉強方法やプログラムで学習したい場合
コーチングはある程度技術や理論が体系立てられているため、より厳密な意味でのコーチングを行うためには指導者にもそれなりの経験や技術、知識が必要になります。もちろん、英語学習のコーチングを行うなら、コーチ自身は英語そのものについての理解も深くなければいけません。こうした理由から、コーチングというサービスは個人指導よりも高額であることが多い印象です。
英語学習のメンタリングとは
最後に「メンタリング」についてです。メンタリングは本来サービスとして提供されるスキルというよりも、メンターシップと呼ばれる『メンター』と『メンティー』の関係性の中で行われるやり取りと考えられます。これについて詳しい解説や mentor/mentee/mentorship といった言葉の意味については【別の記事】で解説しているので、よろしければぜひご参考ください。
こうしたメンタリングは特定のスキルの習得よりというよりも、一人の人間としての成長やキャリア形成を支援するような印象が強いと言えます。また、メンターはメンティーに対し、答えの発見を促すような傾向があります。そのため、双方に視野を広く持つことが求められ、より長期的な関係性になりやすいと言えるでしょう。
このようなメンタリングというサービスは、次のような場合に検討すると良さそうです。
- 英語学習について、例えばキャリア展開なども含めて総合的に相談したい場合
- 長期的にロールモデルとして参考にしたい人がいて、その人がメンタリングというサービスを提供している場合
一方、メンターやメンタリングという言葉の本来の意味から考えると、こうしたサービスを利用せずとも、メンターとして師事したい人がいるなら、その人のTwitterやYouTubeといったSNS発信を参考にすることもまた、メンターから学びを得ていることになります。そうだとすれば、サービスとしてのメンタリングを利用するのは、メンターの時間を買っているというイメージでも良いかもしれません。
最後に
前述したように、個人指導もコーチングもメンタリングも、サービス提供者によって定義が異なるような場合もあります。そのため、コーチングやメンタリングという枠組みでどのようなサービスを探すかというよりも、具体的にどのようなサービスを受けられるか、ということを考える方がより確実です。
それでも、コーチングやメンタリングといった言葉の意味や違いを知っておくことで、例えばその曖昧性を利用して不当にサービスの見た目をよくしようとしているようなケースに気付くことができるかもしれません。自分が何を求めているのか、自分に何が必要なのかを考え、自分に最適なサービスを選ぶようにすると良いでしょう。